色鉛筆グラッフィート

グラッフィートの説明イラスト

細くて尖ったニードルなどで絵具を引っ掻いて下の色を覗かせながら描いていく技法をグラッフィートといいます。今回は、色鉛筆を使って塗りつぶした色面を、グラッフィート(掻き落とし)して描いた作品と引っ掻き方を紹介します。

グラッフィートと色鉛筆に関しては以前記事にしていますので、よろしければ合わせてお読みください。

明るい色を下層にして重ね塗りする

 色鉛筆の記事を書いたとき、重ね塗りの資料として制作していた作品があります。それがこの2点です。どちらも3色使用しており、明るい色→中間の色→暗い色、といった順番で塗り重ねてあります。

色鉛筆での塗り重ねは下の色を完全に隠ぺいする訳ではないので、明るい色が層の下に塗られていた方がいいのです。明るい色を一番上の層として塗り重ねても、あまり強い発色をしないからです。

向かい合う魚の幻想的な絵画
ホルベイン / アーチスト色鉛筆 によるグラッフィート
幻想的な象の絵画
ファーバー・カステル / ポリクロモス によるグラッフィート

引っ掻いて描きます

 重ね塗りが終わったら先の尖ったもので、一番上の層を掻き落とすようにして描いていきます。

わたしのオススメはカッターの刃です。刃の扱い方ですが、刃が付いてる方を上に向けて(逆さまにして)持ち、最上層の色を剥がすようなイメージで動かすと思ったようにグラッフィートできます。

色鉛筆で塗りつぶした色面は、刃物の先端のようなもので引っかかないと上手く色の層を剥がすことができません。ニードルや竹串のように円錐状に先端が尖ったもだと色面の上を滑るだけです。

カッターの刃でのグラッフィートは様々な表現が可能です。先端を使って普通にグラッフィートしても良し、短めに折ったカッターの刃で面的にグラッフィートしても良いですよ。

カッターの刃で線的にグラッフィート、面的にグラッフィート、ニードルでグラッフィート、の動画をYouTubeで公開しています。動画の方が分かりやすいと思うので、どうぞご覧ください。

下描きの必要性

 下描きがないと描き出せない人は転写的な方法を取ると良いと思います。

  • コピー用紙くらいの薄い紙に下描き
  • それを色鉛筆の塗面上に重ねる
  • 鉛筆またはシャープペンシルで強めになぞり描き

こうすると、なぞり描きの際の筆圧で色鉛筆の塗面が少し凹みます。それを頼りにグラッフィートを開始してみてください。

様々な色を重ねて

重ねる色の組み合わせに変化を与えると、同じような絵柄でも印象の違う作品を制作できます。すべて色鉛筆ではなくてもいいと思います。例えば一番下の層は水彩絵具でもいいですし、一色でなく様々な色を塗っておくのも面白いです。

いろいろ試して、思いがけない技法をどんどん発見していきましょう〜。