制作レポート “ サムホールのテンペラ作品 ”

 日々の絵画制作の記録を始めます。

Twitter https://twitter.com/yumiokuaki では “こんな感じで進めてます” 的なつぶやきをしているのですが、同じようなものをブログに書いてもいいんじゃないかと思いました。

と言うわけで、今回から “制作レポート” としてシリーズ化させていきます。

練り込みテンペラと卵黄テンペラを使用中

 現在制作しているのは、2021年2月12日から八丁堀のアート★アイガさんで開催の作品展『奥秋由美×花村泰江 “にちじょう”』に出品する作品なのです。

描きかけの4枚の絵画
制作途中: 綿布に白亜地 / 練り込みテンペラ / 木製パネル(SM)

 これら制作途中の作品たちは、サムホールという227×158mmサイズの木製パネルを支持体としています。木製パネルに膠水で綿布を貼り、白亜地と呼ばれる水性下地を塗って、テンペラを使って描いているところです。

テンペラは今のところ “練り込みテンペラ” と “卵黄テンペラ” を使用中。もう少し進めたら油彩に切り替える予定ですが、もしかしたらこのままテンペラのみで完成まで持っていくかもしれません。

油彩に切り替える理由としては、作品に深みを加えたいからなのです。透明感や重厚感、あと画面保護としての期待も含めています。

テンペラ作品は完成後に画面保護のために専用のニスを塗るのが一般的ですが、その際にテンペラ独自の質感が失われてしまいます。さすがにテカテカにはしませんが、やはり元々の質ではなくなってしまうので、わたしはニス塗りがあまり好きではないのです。

ニス塗りで魅力的な質感を失うなら、途中から油彩に切り替えて色と質を納得いくものに整えながら仕上げていった方が都合がいいと考えています。

テンペラ作品へのニス塗り

 テンペラ作品へのニス塗りに関してはいつも悩ましく思っています。そもそもわたしがテンペラを使い始めた理由は “ツヤの無いマットな色と質が気に入った” からなのです。その何とも言えないテンペラ画のマチエールがニスによって消え失せてしまうのをいつも忍びなく思っていて、場合によっては塗布しないこともあります。

塗布する場合は、便利なのでホルベイン製の “テンペラワニス” を無水エタノールで希釈して使っています。

ホルベイン / テンペラ ワニス https://holbein-shop.com/?pid=104799677

ニスの塗布を省いた場合、画面の傷つき防止には額を用いれば済みます。しかし、汚れやカビを除去するためにはやっぱりニスなどの耐水性の皮膜が役に立つことも事実です。

カビ発生に関してテンペラ画はよく槍玉に挙げられますが、これはテンペラ画に限ったことではない筈です。どんなものでも生乾きで風通しが悪い場所に置いてあればカビが生えますよね。ですので大切な絵画は、すべて “しっかり乾かす(固める)” ことと、しまい込まず飾ってあげることが大切で、これができていればカビが生える可能性はグッと低くなりますよ。

制作を進めます

 さて、引き続き制作を進めていくことにします。今日いっぱいはテンペラを使い続けるでしょう。油彩を使い始めたら制作レポートの続きを報告します。

ではでは、また次回!

テンペラについて書いた記事がありますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。