色が変化する面白いインク “プラチナ・クラシックインク”

2021-12-20

こんにちは、OKUAKI STUDIOです。みなさんはドローイングの際、どんな画材を使っていますか?わたしはペンを使うことが多いです。

3個並んだインクの箱
左から、セピアブラック、カーキブラック、シトラスブラック、の箱

クラシックインクとは?

 今回はペン画を描くとき、わたしが時々使っているインクについて紹介したいと思います。プラチナ社のクラシックインクです。クラシックインクは時間の経過ととも色が黒っぽく変化する、とても面白いインクです。この変化は鉄分の酸化によるもので、黒く変化したあとは普通の染料インクに比べて耐光性に長けています。

クラシックインクを選んだ理由

 染料インクは色数の多さ、美しさ、伸びが良くて滑らかな使い心地で言ったら最高なのですが、色褪せに関して大きな不安があります。

絵画制作をする際は色褪せを避けるよう心がけておりますので、なるべく顔料インクまたは水彩絵具を水で希釈したものを使うことにしています。

顔料を使ったインクに色褪せの心配はないのですが、水中に拡散しているだけなので時折り色水を混ぜなければならないと言う手間があるのです。これがちょっと面倒だなと思うことがあり、染料インクの良いところと顔料インクの良いところを兼ね備えたクラシックインクを使い始めた、というのが理由になります。

3色のクラシックインク

 わたしが持っているのは、セピアブラック、カーキブラック、シトラスブラックの3色。今のところこの3色で満足しておりますが、プラチナのクラシックインクには他にカシスブラック、フォレストブラック、ラベンダーブラック、がありますので、新たな色を購入するかもしれません。

3個並んだインク瓶
左から、セピアブラック、カーキブラック、シトラスブラック、の瓶

使ってみて分かったこと

 クラシックインクを使っていて、いろいろ分かったことがあります。単純にいいとこ取りのインクではなく、使うペンによって、紙によって、発色の様子が違ってくるのです。

はじめは “ムムッ” と思いましたが、いろいろ試しているうちに “面白いインク” だな、と感じるようになりました。何というか、どんな時もブレることなく一定の発色をキープし続ける優等生ではなく、気分で態度を微妙に変えるちょっとワガママな子、という感じなのです。

色の変化を検証

 ということで、私が持っている3色を使って、クラシックインクの色がどのように変化するのかを見てもらおうと思います。

先ほども書きましたが、クラシックインクは時間の経過とともに色が黒く変化していきます。ですので、【時間による発色変化の様子】を見る。また、使う紙によっても発色の違いがあるので【紙の違いによる発色の違い】を見る。の2点に注目してみました。

使用した紙は手元にある紙の切れ端を集めて、アルビレオ、H画用紙、シリウス、アヴァロン、ワトソン、コットマン、ウォーターフォード、ニューブレダン、アルシュ、クラシコファイブ、ハーネミューレの11種です。それぞれに、紙の名称、○△□、インクの色名、が書いてありますので、画像をクリックしてご覧ください。並びは同じに揃えました。また、ペンの素材による影響に関しては今回省かせていただきます。

シトラスブラックの色変化はとても分かりやすいので動画でお見せしたいと思い、YouTubeで公開しています。2分間で色が変わっていく様子をご覧ください。

OKUAKI STUDIO art channel【ART&MATERIAL / 色が変わる面白いインク】https://youtu.be/ayQKxxqfKIU

文字が書かれた11枚の小さい紙
シトラスブラック、用紙別の発色【使用直後】
文字が書かれた11枚の小さい紙
シトラスブラック、用紙別の発色【2日経過】
文字が書かれた11枚の小さい紙
カーキブラック、用紙別の発色【使用直後】
文字が書かれた11枚の小さい紙
カーキブラック、用紙別の発色【2日経過】
文字が書かれた11枚の小さい紙
セピアブラック、用紙別の発色【使用直後】
文字が書かれた11枚の小さい紙
セピアブラック、用紙別の発色【2日経過】

いかがでしょうか?なかなか面白い結果だと思います。

酸化が完了すれば全て黒っぽくなるのだと思いますが、アルビレオ、H画用紙、シリウス、アヴァロン、ワトソン、コットマンは、そのスピードがゆっくりな様です。

素材を楽しむこと

 一週間くらい経過するとちゃんと黒さが強くなってきますが、それぞれの紙でそれぞれの発色をすることは確かです。この現象を楽しめる人じゃないと、もしかしたら不安定に感じてしまうかもしれません。

今まで描いたペン画作品の中で、制作中に何故かインクの色が違ってしまい(多分ペン先の素材が関係している)まるで2色のインクを使っている様に見えるものがあります。もう一度同じ様な変化を取り入れたいと思いましたが、上手くいきませんでした。

わたしはこういったハプニングを思い切り楽しんでいます! “面白そう” と思った方、ぜひぜひクラシックインクを試してみてください!