今日の思い出をハガキに

 たのしいコト、おもしろいモノ、わたしたちは日々の暮らしの中で様々に心を動かしています。そして、その感動を自分の中だけに留めておけず、他の誰かと共有したくなったりする時もあります。

そんなとき一番手っ取り早いのは直接 “話す” ことだと思っていますが、今はsnsで画像や動画を発信するのが一番ですね。わたしもInstagramやTwitterにアカウントを持っておりますので、snsの素晴らしさや面白味は承知しているつもりです。

でも何と言うか、現実の写しを瞬間的に発信するのではなく、描き手の思考を経由して描き出したり郵便屋さんの手を介して相手に届けたり少々時間の掛かる手段もまた素敵だと思うんです。ここ OKUAKI STUDIO art blog としてはやっぱり  “絵” を用いて伝えることを推奨したいのです!

ハガキに絵を描いて

 わたくしOKUAKI STUDIOは、「こんなことがあったよ」ということを絵に描いて文を添えた “絵ハガキ“ を推しています。いわゆる絵手紙のような文字と絵を画面内にバランスよく配置したものではなく、絵は絵、文字は文字とパキッと棲み分けてるタイプの、そういった “絵ハガキ” をイメージしていただければ幸いです。

ハガキ上での絵と文字の位置

わたしが8月中に制作した絵ハガキを制作日順に紹介いたします。これらの絵に短い文章を添えて届けました。

踏石のある庭の水彩画
『庭の緑がきれいだよ』
三日月と家の水彩画
『いっしょに三日月を見たのを覚えてる?』
花とシジミチョウの水彩画
『庭のお花にシジミチョウが遊びに来ているよ』
ショウカイドウの水彩画
『かわいいお花が咲き始めたよ』
オナガドリの水彩画
『庭の物干し竿でオナガドリが一休みしていたよ』
ヤモリの水彩画
『毎晩台所のガラス窓へヤモリが餌取に来ていますよ』
白いカップに入ったコーヒーの水彩画
『久しぶりに珈琲店で珈琲を飲んだよ』
ツユクサの水彩画
『朝の庭はツユクサがきれいですよ』

写真は参考程度に

 どれもiPhoneで写真を撮って、その画像を参考にしながら透明水彩と色鉛筆を使って描いたものです。

写真画像はあくまでも参考程度に使用しています。それよりも描く上で欠かせないのは、全ての感覚で捉えたその時の記憶です。

朝の日差しに透ける花びらの色、風が葉を揺らす音、肌に当たる湿り気のある空気、草や虫の匂いなど、自分の感覚で捉え記憶しておいたさまざまなことを思い出しながら描き進めているのです。

絵だからこそ伝え伝わるもの

 わたしはこれらの絵ハガキを入院中の母に贈りました。郵送ではありませんでしたが病院の看護師さんを介して渡してもらいました。

コロナ禍の現在、入院中の家族に面会はできません。母はタブレットなどの通信機器を持っていなかったということもありますが、絵を見ていろいろ想像したりいろいろ思い出したりしてほしかったのです。

 何十年も前のことです。わたしは幼稚園生のとき一週間くらいだったと思いますが入院したことがあります。その時、父と母からお見舞いの言葉がそえられた絵を受け取りました。そこには当時わたしが好きだったアニメの主人公たちが描かれていて、わたしは夜な夜なそれを見ながら泣いていました。

わたしはそこに描かれたキャラクターを見つめながら、それを描いている父と母の姿と家や部屋の様子を思い出して泣いたのです。

上手くなくてもいいのです

 今やAIが希望通りの素晴らしい絵画を制作してくれる時代ですが、やっぱり自分で描くことにも大きな意味があります。上手くなくても一向に構わないのです。あなたからの絵ハガキを受け取る人はそんなことを気にしていないはずですよ。

現にわたしの父は絵が不得意で描かれたアニメキャラクターは全く別モノに仕上がってました。それでもわたしの心は大く揺さぶられたのですから。