“鳥獣戯画展” 鑑賞の手引き やっぱり甲巻がいちばんカワイイ!

 4月14日(水)の15:00からの時間指定で、上野にある東京国立博物館の平成館で開催が始まった “特別展 国宝鳥獣戯画のすべて” (以降“鳥獣戯画展”) を見に行ってきました。

 今回は会場の様子鑑賞前の予習チケット購入について簡単に紹介していきたいと思います。グッズと図録に関しては購入しませんでしたので触れずに進めていきます。でも、グッズ売り場がお客さんで盛り上がっていたことだけはお伝えしておきます。

鳥獣戯画展のチケットを支えるウサギとカエルのイラスト

“特別展 国宝鳥獣戯画のすべて”

 京都は高山寺に伝わった “鳥獣人物戯画” (以降“鳥獣戯画”)は、平安の時代から令和まで、長きにわたり民衆に愛され続けている不思議な絵巻です。

本展ではこの鳥獣戯画絵巻、甲巻(こうかん)、乙巻(おつかん)、丙巻(へいかん)、丁巻(ていかん)の、四巻が一挙に公開される貴重な展覧会になります。鳥獣戯画ファンはもちろんですが、そうではない方々もこの機会にすばらしい国宝をご覧いなってはいかがでしょうか。

会場の状況は?

 会場内は人数制限されているので混み合うことはなく快適でした。しかし絵巻物の展示ですので自然と鑑賞者の列ができてしまうのは否めません。それでも快適なのですから、入場者制限のシステムはコロナウィルスの心配がなくなってからも続けていいような気がします。

鳥獣戯画展の会場図
鳥獣戯画展会場図 展覧会出品目録より

 展示会場の見取図は上図になります。会場を訪れる前に「どんな感じだろう?」と若干不審気味だった  “甲巻” の動く歩道システムですが、とりあえず両隣や後ろの人を気にしないですむので “楽しむ” ことはできました。運ばれながら見るスタイル、結構気に入りました。

 乙巻、丙巻、丁巻は通常の展示方法です。ちなみにわたしは並ぶのがきらいなので、前列で鑑賞中のみなさまの後ろから短眼鏡で鑑賞いたしました。

それぞれの巻はガラスの向こう側に展示されていますが、その上部には原寸大のサンプルが掲示され見どころも示されていますので、お目当ての絵柄がどこにあるのか知ることができます。

絵巻の始まりには鑑賞者が多いですが、誰も佇んでいない所もありますので、そういった所を見つけて飛び飛びに見るのもいいと思います。

鳥獣戯画四巻、鑑賞前の予習!

 鳥獣戯画は手塚治虫さんや高畑勲さんも大いに魅了されていたのは有名な話ですよね。数年前の日曜美術館で、生前の手塚治虫さんが鳥獣戯画について熱く語る回をアンコール放送していました。そのなかで手塚治虫さんは、

初めて全ての鳥獣戯画を見たのは漫画家になってからで、岩波写真文庫(昭和30年頃)の鳥獣戯画特集だった。そこには既に漫画の “3つの要素” である “省略・変形・誇張” が存在していることを知り、とても大きなショックを受けた。

手塚治虫

と番組冒頭で語っておられました。

 さて、そんなエピソードを持つ鳥獣戯画ですが、甲巻、乙巻、丙巻、丁巻の四巻全てをまとめて鑑賞できる機会は早々ございません。充実した鑑賞を手に入れるために予習をしておくことをオススメしたいと思います。

そこでわたしは “鳥獣戯画展” の公式HPの活用をオススメします。本展のHPは大変見やすく使いやすいデザインだと思います。絵巻に登場する動物たちが愛嬌いっぱいに案内をしてくれます。

以下はわたしが「いいな」と思ったコンテンツ。

開催概要・・・出品目録のダウンロードが可能です。会場でも無料配布していますが、事前に見ておいても損はありません。ここには “国宝 鳥獣戯画 各巻解説” というのがありますので、読んでおくと鑑賞の際に見るポイントを定めることもできます。

みどころ・・・こちらには第一章、第二章、第三章と、展示に合わせて「ここ!」という “みどころ” が丁寧に紹介されているので、事前に読んでおくと有意義な鳥獣戯画鑑賞ができそうです。

スペシャル・・・“みどころ” を案内した動画が2本あります。また、“ジュニア・ガイド” として鑑賞の手引きがダウンロードできます。出品目録とかぶる内容もありますが、四つ折りにしてガイドブック的に使う使用になってます。

チケットの購入

 チケットは事前予約制(日時指定券)で、公式HP “チケット” から購入することになります。

“鳥獣戯画展” では《アソビュー!》《セブンチケット》《あさチケ》と、三つの購入窓口が設けられていて、いずれも会員登録(ID取得)が必要になります。わたしは三つともIDを持っていなかったのでとりあえず《アソビュー!》から購入いたしました。

たとえば「クレジットカードは使いたくない」という方は《セブンチケット》か《あさチケ》からの購入がよろしいかと思います。日時変更とキャンセルが可能なのは《アソビュー!》のみとなります。

最後に

東京国立博物館平成館前の鳥獣戯画展看板

 以上、“特別展 国宝鳥獣戯画のすべて” の簡単な紹介でした。

展示を見終わって思ったのは「やっぱり甲巻がいちばんカワイイな〜。」ということ。動物たちの表情や動き、柔らかで勢いのある線、そして墨の色、すべて可愛かったです。

そして忘れてはいけない、“明恵上人坐像” 。こちらは高山寺に通常非公開で安置されている、お寺の大切な宝物です。木彫とは思えないリアルな存在感に、少し怖さを感じるほどでした。

会期は始まったばかりです。鳥獣戯画四巻が一挙公開されたすばらしい展覧会ですので、ご都合に合わせてお楽しみください!

展覧会概要

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」公式HP:https://chojugiga2020.exhibit.jp

会場:東京国立博物館 平成館 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9

会期:2021年4月13日(火)~5月30日(日)

休館日:月曜休館 ※ただし5月3日(月・祝)は開館

開館時間:午前9時-午後7時(最終入場は午後6時)※総合文化展は午前9時30分~午後5時

※観覧料など詳しくは展覧会公式HPをご確認ください。