ヒルマ・アフ・クリントの作品に感銘を受けた
こんにちは、OKUAKI STUDIO です。3月26日に竹橋の東京国立近代美術館へ ヒルマ・アフ・クリント展を見に出かけました。
実物を見たいと思っていた
わたくしは一昨年くらいからヒルマ・アフ・クリント展が日本で開催されるのを心から望んでおりました。というのも、ふとしたことでヒルマの作品を知ることになり、web上であれこれ検索しているうちにすっかりファンになってしまったからなのです。
画集大好きっ子のわたくしは、いろいろ調べて ”Hilma af Klint : Paintings for the Future“というタイトルの画集がとりあえず良さそうだと踏んで購入。ちなみにわたくしが「良さそう」と思う基準は、カラー図版が多いということです。そしてスラスラと読むことはできませんが英文であることです。
その基準を突破した画集を毎日眺めつつ更にweb検索も続けていたら、恵比寿の写真美術館でヒルマの映画を上映しているのを発見!たぶん翌日あたりに見に行ったと思います。映画は残された作品と資料、遺族の証言などから研究されたヒルマの芸術についてのドキュメンタリーで、なかなか興味深い内容でした(DVDがミュージアムショップに売ってました)。
ヒルマのことを知れば知るほど「実物を見たい!」という気持ちが大きくなるばかりだったのです。ですので近代美術館での開催を知ったときは、驚きと喜びで久しぶりに舞い上がりました。
会場は
ヒルマ・アフ・クリント展は3月4日から6月15日までの開催です。始まってすぐ見に行きたかったのですが、3月13日から個展を控えていとこともありまして、26日にやっと出向いたしだいであります。
ちらほらと桜も咲き始めて心地よい季節ですし、春休みということもあるのでしょうか、お子様連れが多かったように思います。思うに桜の花が完全に終わり、新学期が始まってからの方が落ち着いて鑑賞できるかもしれません。
展示作品の撮影がOKのようでしたので、何と言いますか…、記念撮影をしている方が目立ちました。作品の前でポーズをとりパチリとシャッターを切ったり、中には動画を撮っている方もいたりして、芸術を鑑賞するという目的から完全に外れている様子が気になった次第であります。
まぁ、騒いでいる訳ではないのでいいのかな、とも思いますが、ヒルマがこの状況を見たらどう思うでしょうか?何だか考えてしまいました。
テンペラによる大作
悲しいことばかり語っている場合ではないのです。そうです、ヒルマの作品は実に素晴らしかったです。
画集を眺めるしかなかった時、実際に鑑賞できることを夢見ていた大きな作品、3200×2400mmのテンペラ画には心から感動いたしました。The Ten Largest, Group Ⅳ 「10の最大物、グループⅣ」と題された10点の作品です。これらの大作が今回の展覧会でどんなふうに展示されるのかとても楽しみにしていました。
ゆっくりじっくりと鑑賞を進めると、他の展示室より暗い空間にたどり着きます。そこが The Ten Largest, Group Ⅳ の展示室です。展示室の中央に作品が掛けられた壁が設置されていて、外側の壁は鑑賞のために腰掛けられるようになっていました。鑑賞者は壁をぐるっと回りながら10点の大きな作品を鑑賞することになります。ヒルマの作品に頻繁に登場する螺旋のように、わたくしたちもぐるぐる回るのです。
ちなみにわたくしが持っている画集はグッゲンハイム美術館で開催されたときの図録なのですが、グッゲンハイム美術館はご存知の通り螺旋の建築物ですので、ヒルマにぴったりの空間なのです。わたくしは The Ten Largest, Group Ⅳ の空間にかなり長い時間身を置いておりました。なんというか、とても良い気分でした。それは川村記念美術館のロスコ・ルームでも感じられる気分です(ロスコ・ルームの今後が気にかかります)。
描く喜びと苦しみ
図録によるとヒルマはこの10点の大作を2ヶ月で仕上げたらしいのです。ものすごい精神の持ち主だと思いました。
わたくしは作品に近寄ってその絵画面を観察しました。画面が大きいので支持体である紙を継ぎ足していることや、絵具が垂れたり飛び散ったりした跡や、透けて見える下描きの線など、画面に向かっていたヒルマの存在を感じました。たぶん睡眠や食事の時間も無駄だと言わんばかりの日々だったはずです。思うように描けず苦しい時もあるけれど、それ以上に充実した時間が制作空間である部屋に充満していたのが分かります。
仕事部屋に篭ってひたすらに描いている姿を想像するのは非常に楽しいです。想像しながらふと頭をよぎるものがありました。ちょうどヒルマと同じ時代を生きていたヴァージニア・ウルフの「自分ひとりの部屋」です。ヴァージニアは言います「創造的な仕事をするには自分だけの部屋が必要だ」と。ヒルマがすばらしい仕事を続け、そして残せたのも仕事部屋を持っていたからなのです。
あたりまえのようですが、これは難しいことでもあります。仕事部屋であるアトリエがないことで描くことを諦めてしまう人は、男女関係なく今でも多くいるのですから。
展覧会情報
ヒルマ・アフ・クリントの作品展が再び日本で開催される可能性は低いと思います。ちょっとでも興味を持ったなら、見ておいたほうがいいでしょう。わたくしももう一回は見にいく予定です。
展覧会名:ヒルマ・アフ・クリント展
会場:東京国立近代美術館
会期:2025年3月4日(火)〜6月15日(日)
開館時間:10:00−17:00 (金曜・土曜は10:00−20:00)
休館日:月曜日(ただし3月31日、5月5日は開館)、5月7日(水)
展覧会情報はヒルマ・アフ・クリント展フライヤーより引用させていただきました。観覧料など詳しくは展覧会公式サイト https://art.nikkei.com/hilmaafklint/ を必ずご覧ください。