水彩紙の切れ端からハガキを作る

こんにちは、okuaki studio です。

 みなさんは水彩画を描く時、どのような紙を使ってらっしゃいますか?安価な画用紙だったり、ちょっと高級な水彩紙だったり、あとスケッチブックを使う人もいれば大きな紙を自分でカットして使う人もいるでしょう。

切れ端をため込んでいました

 わたくしは全判の水彩紙を好みのサイズにカットして使う派なのですが、このように使っていると一つ問題が浮上してきます。

それはどうしても“切れ端”が生まれてしまうということなのです。切れ端は小さい作品として使ったりもしますが、どうしようもなく細かったり小さかったりすると使い道に悩みます。捨てるのは忍びないのでとりあえず何らかの容器に入れて保存していました。

 水彩紙は安くないですし、なによりも画材屋さんで見本を見ながら選び抜いた紙です。それに紙工場の人たちが丹精込めて作った品物でもあるのです。まあ、紙なので再生ゴミとして出せばまた紙になると思いますが、一度わたくしのものになったのに人任せにしたくないというか、捨てるという行為を選びたくないというか、何と言いますか単に自分だけの拘りで切れ端をため込んでいた訳です。

ハガキを作ってみよう

 切れ端は“洋紙”と“和紙”に分けで保存していて、いつの頃からか《ハガキとして再生する》という考えを持ち始めました。

 よく使用済み牛乳パックからハガキを作るというのを耳にします。牛乳パックの紙を利用して紙漉きをするというマニアックな行動ですが、同じ様に水彩紙の切れ端でも紙漉きすれば細かくてバラバラであっても数枚の揃ったサイズの新しい紙として生まれ変わらせることができるはずです。

といった経緯から今回のテーマ《水彩紙の切れ端からハガキを作る》に挑むことにいたしました!それでは準備から制作まで、解説を始めます。

準備

紙漉き用具
左上:ミキサー 左下:タッパー 右:トレーに網と木枠

 まず初めに洋紙の切れ端をたっぷりの水に浸し充分に水を含ませておきます。24時間以上は必要です。ただ何日も浸しっぱなしにしておくのは避けたほうがいいと思います。今回わたくしは大きめのタッパーに入れて丸々二日間冷蔵庫に入れておきました。

洋紙はさまざまな水彩紙が混ざっていて種類分けはしていません。もともと切れ端ですができるだけ小さくちぎってから水に浸すと良いと思います。紙の芯まで水を含ませないといけないので小さければ小さいほど都合が良いです。

紙漉き材料
紙はもっと小さくちぎっておいた方が良いと思います。(画像ではミキサーはまだ回していません)

ひとつお伝えしておくと、ハサミやカッターを使うより手でちぎった方が水を含みやすいと思います。今回ハサミで細かくした切れ端がミキサーで攪拌後もその形状が残ってしまいました。ハサミなどでの切断面が問題なのか、紙の種類が問題なのかは今のところ不明ですが、シャープな形状がいつまでも残ってしまいました。

水分をしっかり芯まで含ませたらミキサーなどにかけて液状にします。水を多めに加えて、紙の形が無くなるまで、繊維になるまで砕きます。出来上がったこの液体をここでは“繊維水”と呼ばせていただきます。

道具を手作りする

 今回準備した道具の中にわたくしが手作りしたものがあります。それは“木枠と網”です。専用のものも売っていますが、代用できそうなものを探したり、作ったりするのもまた楽しいと思います。

ハガキ作り説明イラスト

 木枠は内寸が 100×150mm になっています。よくあるポストカードのサイズが 100×148mm ですので、近いサイズに仕上がることを期待してこの寸法にいたしました。

ハガキ作り説明イラスト

 網に使ったのは“みかんネット”です。カラーワイヤーなどで木枠より大きめの枠を作り、みかんネットの中に入れます。ワイヤーがズレないようにビニール紐などで縫い付けて出来上がりです。ネットが大きいようでしたら はみ出た分をハサミで切っていいと思いますが、網目がほつれてくるかもしれません。

 網を使って紙漉きをするので、出来上がったハガキには網目が付きます。もっと細かい目に仕上げたければ、いらなくなった“洗濯ネット”で網を作ってみてください。逆にもっと粗い目がご希望でしたら“巻き簾”などでもいいかもしれませんね。

紙漉き

ハガキ作り説明イラスト

 深さのある大きめのトレーに水を張ります。そこに網を入れその上に型を重ねたら、繊維水を型に注ぎます。繊維が一箇所に片寄らないように均一に注いでいきます。注ぎ入れる量が少なければ薄い紙が、多ければ厚い紙が仕上がります。

ハガキ作り説明イラスト

 好みの量を注ぎ入れたら網に型を重ねたまま一緒に水から引き上げます。斜めにしないように水平を保ちながら上げるのがポイントです。

ハガキ作り説明イラスト

 水から上げ滴り落ちる水がおさまったら、吸水シートの上に置いてそっと型を外します。この時点で網の上にはハガキの形になっている紙繊維が乗っています。次にその上にもう一枚別の網を被せます。この時点で紙繊維は網に挟まれている状態です。次に網ごと吸水シートで挟んで圧をかけ水分を取り除いていきます。吸水シートを絞って、何度か繰り返してください。

ハガキ作り説明イラスト

 ある程度水分を取り除いたら、上に被せた吸水シートと網を取り外します。次に乾いている吸水シートを用意し、紙繊維(ハガキ大)が乗っている網ごとくるっと裏返して 乾いている吸水シートの上に置き直します。上になった網をそっと紙繊維から外し(水が切れていれば外れます)、風通しの良い場所で乾かします。

このまま完全に乾かすと紙が波打つとと思いますので、乾き切る少し前に上から軽く重しをしておくと波打ちを抑えられます。

にじみ止め

 しっかり乾いたらハガキの完成です。このままでも使えますが、水性ペンや水彩絵具を使いたい場合”にじみ止め”をしなければなりません。これはドーサ引きとかサイジングとか呼ばれています。

 わたくしははじめ“ドーサ引き”とやらを試みたのですが、望んでいる状態にならず、邪道とは思いつつも“アクリルマットメディウム”を水に少量加えたもので代用いたしました。

まず、紙全体に染み込ませるように塗っていきます。乾いたらもう一度同じように塗ります。2回塗りでいいと思いますが、必要であれば3回目も塗ってください。どの程度の強さでにじみ止めをしたいかは好みですので、自分なりに決めてみてください。

再生ハガキの誕生!

 今回はハガキ大で作りましたが、型を変えれば色々な大きさや面白い形の紙を漉くことができますね。それに網の種類をあれこれ試して、個性的なハガキを作ることもできちゃいそうです。

紙漉きで作ったハガキ
出来上がった“再生水彩紙”

 さて、今回わたくしのハガキの仕上がりはこんな感じです。紙の周りに耳が付いていて手漉き感があって、味わい深い紙ができました。そして何よりも切れ端だった紙が新しい紙として生まれ変わり、その上に新しく自由なドローイングができるのです。自分で漉いた紙を見つめて様々なイメージが膨らみます。

さて、さっそく描き始めようと思います!みなさんもぜひ手作りのハガキを漉いてみてくださいませ。