作品 no.6 “鳥の仮面の訪問者”と“宇宙からの訪問者”
こんにちは、OKUAKI STUDIOです。
今回ご紹介する作品は『鳥の仮面の訪問者』と『宇宙からの訪問者』です。そして、ちょっと面白いものもご紹介しようと思います。
絵と額がくっつている作品
この2点はとても小さな作品です。そして額縁のような金色の縁と絵は一体となっており外すことはできません。
現在では額から絵を取り外すことができるのがあたりまえですが、ヨーロッパの古い絵画の中には絵と一体になっているものもあるのです。この2点の作品はそういった絵画の構造を参考に制作してみた、といったところでしょうか。
構造だけでなく技法や表現も
わたくしOKUAKI STUDIOはヨーロッパの古い絵画技法を地味に研究しておりますので、技法や表現に関しても軽やかに、そしてほんのりと取り入れてみました。
- まず支持体となる同じサイズのシナ合板を2枚用意します。
- 一枚はそのまま、もう一枚は内側をくり抜き額縁のようにして貼り合わせます。
- そこに下地として石膏地を塗り重ねます。
- しっかりと乾かしたら絵画部分は平滑に研磨します。今回額縁部分は、下地を塗り重ねた時の刷毛痕を生かし凸凹を残してあります。
- 次に額縁部分にはボーロを塗って金箔を置き、メノウ棒で軽く磨いています。
- 金箔を磨き終えたら絵を描き込みます。
今回は卵黄テンペラではなく“練り込みテンペラ”を使ってみました。人物は14〜15世紀のネードルランドの絵画を参考にしています。撫で肩で栄養不足っぽい見た目や使用している色なども参考にいたしました。
これまでわたしはほとんど人物を描いていないのですが、数年前から少しずつ描くようになったのです。
箱?それとも額?
この作品は額が付いていますから、そのまま壁に飾ることを前提に制作しました。しかし、何となく剥き出しのままなのも不安…、ということで専用の箱を作ってみたのです。
最近、“カルトナージュ”なる素敵な箱作りを教わったとこもあり、作品の箱も見よう見まねでがんばってカルトナージュってみました。こんなのでカルトナージュを語ったら怒られちゃうかもしれませんね。
最初は単なる“かぶせ箱”を作るつもりだったのですが、作りながら色々とアイデアが浮かんできて、最終的に箱としても額としても使えるこの箱が出来上がった訳です。
冒頭でお伝えしていた“ちょっと面白いもの”というのはこの箱のことなのです。どうでしょう、面白がっていただけましたか?
参考にした本
額縁のことを知りたいな、という方におすすめしたい本があります。わたしも今回参考にしています。
『額縁と名画 / 絵画ファンのための額縁鑑賞入門』ニコラス・ペニー著 古賀敬子訳 八坂書房
薄くて図版も多いので楽しく読めます。ご興味あるようでしたらぜひ検索してみてください。以上、OKUAKI STUDIOでございました!
作品データ
タイトル:『鳥の仮面の訪問者』『宇宙からの訪問者』
制作年:2022
素材:シナ合板・石膏地・金箔・練り込みテンペラ・アルキド樹脂絵具
サイズ:120×100mm