インド細密画
こんにちは、OKUAKI STUDIO です。
11月7日、府中市美術館で開催中の『インド細密画』を見に行きました。朝は雨降りでしたが次第に日差しがでてきて、出かけるころには晴天となっていました。11月とは思えない暖かさの中(暑いくらいでした!)、のんびりと車を走らせて美術館を目指しました。
ゆっくり鑑賞できました
『インド細密画』は今月の26日までの開催です。昨日は平日でしたが訪れる人は結構いらっしゃいました。
“展示作品一点に一人ずつ”といった混み具合で、ゆっくり鑑賞していると時折わたくしの周りから人影が消えますが、またすぐに元に戻る感じでした。会期が終わりに近づくとかなり混雑するかもしれませんね。
府中市美術館は公園の中に佇んでおりますので、展示鑑賞後に秋色になりつつある木々を眺めながら、ぐるっとお散歩するのもステキだと思います。
描かれた物語を楽しむ
展示作品はどれもこれも見ごたえがあります!
絵を見るだけでも良いですが、この展示は作品解説を読みながら鑑賞することで面白さが倍増します。なぜなら、ほとんどの作品が物語を元に描かれたものだからです。物語の他に音色を絵画化したラーガマーラという表現もあり、解説文を読むことで新たな世界観を知ることもできます。
展示を見終わってから図録を購入しました。物語を振り返るのに役立ちます。図録は実際の絵画作品より明るくクリアな印刷です。
図録と一緒にタラブックスのかわいい絵本『しっぽばなし』も購入いたしました。
細密世界を楽しむ
どれも小さな作品ですので、「細かいところまで見たい!」という方は美術観賞用の単眼鏡やオペラグラス、または老眼鏡などを持っていくと良いかもしれません。
「そんなの持ってない!」「忘れちゃった!」という方も安心してください。この展示では足元にラインが引いておりませんでしたので、近づいて見ることもできました。
貴重な作品にもかかわらずラインを引かないのは「どうぞお近くでご覧ください」といった心意気なのだと思います。“展覧会の主催者も鑑賞者も同じ美術を愛する者たちである”というメッセージを感じました。そして今回の展示作品のほとんどが畠中光享氏の個人コレクションであることから、畠中氏が作品を見に訪れる人たちを当たり前のように信用してくださっているのだ、とも感じました。
額装を楽しむ
作品が個人コレクションだということは額装からも感じ取れました。
紙に描かれた小さな作品を額装する場合、木地の細いフレームに白やクリーム色のマットにするのが無難でありますが、畠中コレクションはマットに大胆な柄や色が入ったインド(たぶん)の綿布を使っているのです。中には掛軸に仕立ててあるものなどもあり、そういった点からも鑑賞を楽しむことができました。
図録には残念ながら額装や表装された状態は載っておらず、わたくしとしては「面白いのに、もったいないな。」と思ってしまうのでした。
面白いと思った作品
さて、『インド細密画』を見終わって、わたくしが痛く感動したのはラーガマーラです。音色を絵画化するって、とても面白いと思いました。
音楽や音から様々なイマジネーションを繰り広げることは誰しも日常的に行っていると思いますが、ラーガマーラという芸術感はそれとは全く違うものですよね。
数枚のラーガマーラを見ただけで、その本質を理解出来るはずがないのは百も承知ですが、描かれた小さな画面を見つめていたら、絵の中に弱い時間の流れや静かな動きを微かに感じることができたのです。そして「わたくしが存在している時間の流れと歩調を合わせることができるのでは!」と懸命に挑む、そんな見方ができたことが面白かったのです。でも非常に疲れきってしまいました。
そしてもう一つ、もし『インド細密画』を見に行くご予定があるようならば、「動物で構成された牛に乗るシヴァ」というタイトルの作品を、まじまじと鑑賞してほしいのです。理由は、見れば分かっていただけると思います!
それでは今回はここまでといたします。OKUAKI STUDIO でした!
展覧会情報
展覧会名:インド細密画
展覧会webページ:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/exhibition_2023_3_india.html
会場:府中市美術館
会期:2023年9月16日(土)〜11月26日(日)
開館時間:午前10時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
※展覧会情報は美術館HPより引用させていただきました。休館日、観覧料など 詳しくは“展覧会webページ”をご確認ください。